更年期外来
●更年期障害とは
閉経前後、女性ホルモンの急速な低下に身体がついていけない状態です。症状や程度も人それぞれですが、人によっては耐えがたい苦痛になります。女性にとって閉経前後をいかに快適に過ごすかが人生の質を左右する要素として重要になってきています。また更年期障害と思っていても、うつ病や内科の病気がみつかることもあります。
●更年期障害の特徴 ‐こんな症状はありませんか?
*心の症状
不安、不眠、イライラ、無気力、無感動、情緒不安定
*体の症状
のぼせ、ほてり、発汗、めまい、肩こり、冷え症、外陰部の痛み、
性交痛、尿失禁、高脂血症、動脈硬化、骨粗鬆症、頭痛
更年期障害をチェックしてみましょう。
症状 |
症状の程度(点数) |
項目
点数 |
|||
強 |
中 |
弱 |
無 |
||
1) 顔がほてる |
10 |
6 |
3 |
0 |
|
2) 汗をかきやすい |
10 |
6 |
3 |
0 |
|
3) 腰や手足が冷えやすい |
14 |
9 |
5 |
0 |
|
4) 息切れ、動悸がする |
12 |
8 |
4 |
0 |
|
5) 寝つきが悪い、または眠りが浅い |
14 |
9 |
5 |
0 |
|
6) 怒りやすく、すぐにイライラする |
12 |
8 |
4 |
0 |
|
7) くよくよしたり、憂うつになることがある |
7 |
5 |
3 |
0 |
|
8) 頭痛、めまい、吐き気がよくある |
7 |
5 |
3 |
0 |
|
9) 疲れやすい |
7 |
4 |
2 |
0 |
|
10) 肩こり、腰痛、手足の痛みがある |
7 |
5 |
3 |
0 |
|
1から10までの合計数を記入してください⇒ |
|
判定 |
||
0~25点 |
じょうずに更年期を過ごしています |
|
26~50点 |
少し問題が出てきているかもしれません。 |
|
51~100点 |
更年期外来を受診し、生活指導や治療を受けたほうが |
|
51点以上の方は、悩む前にご相談ください。
●診察の流れ
Step1 問診・カウンセリング
-月経の状態、自覚症状、日常生活への影響の程度など
をお聞きします。
Step2 内診・超音波検査
-卵巣や子宮の状態などを診察させていただきます。
Step3 血液検査
-女性ホルモン、内分泌検査など、個人に合せて追加していきます。
●治療方法
○ 生活指導
-日常生活の食事や運動に注意するだけで改善できることもあります。
○ 安定剤
-気分の落ち込み、不安が強い方に有効です。
○ 漢方薬
-ホルモン補充が少し不安な方や症状が軽い方におすすめします。
○ HRT(ホルモン補充療法)
-体内に不足しているエストロゲンを補充することで、心身の様々は症
状を軽減、改善することが期待できる療法です。幅広い効果が認めら
れ、生活の質の向上にも大きな貢献が期待できます。
非常に有用な治療ですが、副作用もあるので注意が必要です。
*以下項目にあてはまる人はご相談ください。
・以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たこ
とがある
・乳がん、子宮体がんなどにかかっている、またはその疑いがあると
いわれたことがある
・血栓性の疾患にかかっている、またはかかっていたことがある
・肝障害がある
・異常な性器出血がある
・心筋梗塞、脳卒中にかかっている、またはかかっていたことがある
・妊娠している可能性がある、または授乳中である
・ポルフィリン症で急性発作が起きたことがある
●治療効果
患者さんにあった治療を選択していきます。しかしながら、更年期
症状は個人差・症状内容も複雑で、すぐに治すことは難しい場合も
あります。治療方法は、多数あり必ず自分にあった方法が見つかる
はずです。じっくりと治療していきましょう。
*** HRT(ホルモン補充療法)***
利点
☆ 骨粗鬆症の予防
エストロゲンの欠乏が長く続くと、骨粗鬆症といって骨量が少なくなり骨が弱くなりますが、HRTには骨粗鬆症を予防する効果もあります。
☆ 動脈硬化の予防
HRTには血中の悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値を上げる作用もあることから、動脈硬化の予防にも役立ちます。
☆ 認知症の予防
エストロゲンは脳神経に作用して、記憶や脳血流の改善があるとさ
れていることから、認知症の予防する可能性があります。
☆ 大腸がんの予防
HRTをした人に、大腸がんの発生が少なくなっていますが、理由 は不明です。
☆ 肌の状態をよくする
HRTには、コラーゲン量の保持、保水効果、創傷治癒が
いいとの効果があることから、肌の状態をよくします。
ただし、これらがある程度以上に進行してしまうと、元に戻らないため、HRTを早めに開始することが必要です。
欠点
☆ 静脈血栓塞栓症の危険
血栓のリスクを2~3倍増加させるとの報告があります。定期的な検査が必要です。
☆ 乳がんの危険
HRTを 5年以上続けると乳がんの危険がありますが、
5年以内であれば増加しません。
☆ 子宮体がんの危険
子宮がある場合は、発生が少し増えることがあります。
定期的な診察が必要です。
☆ 卵巣がんの危険
卵巣がんが少し増えるとの報告があります。
定期的な診察が必要です。
☆ 片頭痛が増悪
片頭痛がひどい方や今までになったことある人は、ひどくなることがあるので、注意が必要です。
いずれも、定期的な検査・診察で早期の発見や治療が可能です。
資料請求先:
〒808-0024
北九州市若松区浜町1-17-1
産業医科大学若松病院産婦人科 093-761-0090
吉村 和晃 yoppy69@hotmail.com